散髪して抗うつ剤を替える

午前中は多少の倦怠感が残るものの、きのうほどぼーっとした状態でもない。午後、なじみの理髪店へ。ここは「一番近いから」という理由だけで、開店当時からもう何年通っているだろうか。よく覚えていないが20代からなのは確実だ。

開店当時は若い夫婦だけで営むこじんまりとした店で客もほとんどいなかった。小さな入園前かそれくらいの子供が店内を走り回っていた。「いつつぶれるのかな?」と思いながら通っていると、少しずつ客足がついて、やがてここ数年のあいだに場所を少し移動した所に大きな店舗を持って、小ジャレた若いスタッフを何人も抱えるユニセックスなお洒落なお店に変貌した。女性客も多い。最近2号店までオープンした。

先日、駅へ歩く道すがら「よ!」と反対から近づいてくる自転車に乗った金髪の兄ちゃんに呼びかけられた。誰かと思って一瞬いぶかしがったが、すぐに理髪店の店長だとわかった。すれちがいざまに笑顔で「運動会!」とだけ叫んで、自分の母校でもある小学校のほうへ去って行った。そうか、あんなに小さかった子たちがもう小学生か。

通い続けているうちに自分の頭髪はずいぶん薄くなった。スタッフが増えてもカットしてくれるのは必ず店長。ハゲをネタにして談笑。そのあと若い男の子とバトンタッチ。「今日はお仕事お休みですか?」と何気に聞いてくる。あのね、世の中には働き盛りに見えて無職の男も少なからずいるんだから「お仕事なにされてるんですか?」とかそういう系統の質問やめなさい。無職時、その質問が怖くて自分でバリカン買って坊主にしていた頃をおもいだした。

まあ一応いまは明日をも知れない身ながらフリーでウェブサイト制作に携わっているから、そう説明すると「へえー、僕パソコン欲しいんですけど何がいいんですかねー?」なんて訊いてくるから、あれこれ話していたがどうにも話がかみあわない。よくよく聞くとどうやらMacWindowsの区別すらついていないことが判明。オーエス?なにそれ?のレベル。

『ほんとはパソコンなんてほしくないんだろうな……客に合わせてどうにかこうにか会話してるんだろうな……』と思いながら店をあとにする。その若い男の子はドアを開けて最後まで愛想よく見送ってくれる。接客業というのもなにかと大変だ。

帰宅して身体に倦怠感をかんじる。理髪店に行っただけで疲れるようじゃ、まだまだ病状がいいとは言えない。抗うつ剤の副作用には、自分の場合、のどの渇き・性欲減退・便秘・排尿困難があるのだけれど、なかでも排尿困難がダントツでつらい。

排尿困難はしばらく治まっていたのだけれど、どーんと体調が落ちてから再発して、ここ数日医者の許可も得ず、勝手に3種類の抗うつ剤ルボックストリプタノールイミドール)のうち2種類(トリプタノールイミドール)を飲まずにいた。勝手に服用をやめるのもどうかなと思い、夕方からいつもの医院へ。待ち時間のあいだに倦怠感が増していく。

ここ最近の病状の急変の過程と薬の事を主治医に説明すると、「ルボックスだけでは弱いだろう」ということで、トリプタノールイミドールの替わりに比較的副作用がちいさいと思われるテシプールという抗うつ剤を処方された。はてさてどうなることやら。