悪夢

寝る前に飲む薬を大阪の母の実家に忘れて置いてきてしまった。睡眠導入剤睡眠薬などのそれである。寝られるかどうか不安を抱えながら床についたが、三時間ほど悪夢を見続けながら深夜に目が覚めるという散々な結果に終わった。

身体はふるえ、心は憔悴し切った。仕方なく風呂を沸かして湯につかってリラックスし、iPod nano から流れる歌を子守唄代わりにしてなんとか再度眠りについた。

悪夢。どんな悪夢だったか文章で表現するのは難しいが、ホラー小説のようなラストに怯えさせられ、と同時に自分が「キン肉マン」であるという世界に投げ込まれたかと思うと、自身が「キン肉マン」であるということに対して、その実存をさまざまなパラレルワールドの中に放りこまれて脅かされるという、滑稽といえば滑稽なのだが、とにかくそれはそれは恐ろしい夢だった。読むのを途中で挫折したが『ドグラ・マグラ』の世界にニュアンスが似ていたかもしれない。

濃霧で薄暗い肌寒い冬のような朝。寝不足のまま薬をもらうために神経科に向かったが第一土曜日は定休日だった。即刻母に薬を速達で送ってもらうようにメールして、朝食用にパン屋でパンを買い、コンビニでバナナ豆乳を買って帰宅。コタツでうつらうつらと寝て起きると外は燦々と陽光がふりそそぐ平和な昼下がりをむかえていた。