哲学・思想に救われたか?

というか、それほど読みこんでいるわけでもないし、あいかわらずよくわからないし、そもそも救済を求めているわけでもない。が、たとえばスカイビル周辺に吹く強風にたいする「ある感覚」。「私がここに生きている」という自然物との「連なり」のようなものを取り戻しつつあるというのは、なにかを示唆しているかもしれない。ちなみに保坂和志は『書きあぐねている人のための小説入門』のなかでこう書いている。

今の社会は「役に立つ/立たない」という価値観が広く深く浸透してしまっていて、どういう評価もほめ言葉も、全部それに回収されてしまう恐れがあり、哲学はそういうことと根本的に違うんだという了解を持ってもらわないと何を書いても無駄になってしまう。

保坂は、拙速な“答え”ではなく、思考のプロセス全体から得られる感触こそを説く。そういえば、ややこし研の参加動機もそれにちかい。「役に立つ/立たない」でないことは明らかで、集まりから解散までのプロセス全体にこそ求める何かがある。