華氏911

京極弥生座にて『華氏911』を鑑賞。「イラク戦争は不必要だった」という結論がまず前提にあって、「なぜこんなことになってしまったのか」という意味づけをムーアはおこなう。報道を見ていたらイラク戦争におけるアメリカの不当性はなんとなく理解できるけど、じゃあブッシュはなんでこんなゴリ押しでイラクに攻め込んだの? っていう、その発想とか思惑とか価値観は、政治にうとい自分のような庶民にはあんがいわからない。

ムーアが大事にするのは「いつ、どこで、なにが起こったか」という客観的な事実の論理性じゃなくて、「なぜこんなことになってしまったのか」の「なぜ」という意味の筋道。意味の論理性。意味の探求だ。そのあたりは前作の『ボウリング・フォー・コロンバイン』と変わらず首尾一貫している。ムーアの意味づけを肯定するも否定するもひとそれぞれだろうけど、退屈な正論におさまらないこの探求心と一貫性は、観ていてやはり小気味いい。★★★★