文学賞メッタ斬り!と初めての舞城王太郎

大森望豊崎由美文学賞メッタ斬り!』と舞城王太郎煙か土か食い物 (講談社ノベルス)』を読了。『文学賞メッタ斬り!』は肩のこらない対談形式で業界の裏話をはさみながらさまざまな文学賞を批評。小説ジャンルを網羅的に紹介してくれるので、小説にうとい自分にはありがたかった。これを手がかりに色々と読んでいこう。映画理解の助けにもなるだろう。

で、手始めに読んだのが両氏が評価していた作家舞城王太郎の『煙か土か食い物』。いちおうミステリ仕立てだが、「純文ともミステリとも言えず、枠組を利用しながら突き抜ける力がある」と『文学賞メッタ斬り!』のなかで評されているように、ジャンルの枠にはめこんで評するのは難しそう。乱暴を装った疾走感のある文体は慣れるとなかなか心地いい。家族間の葛藤を沸点にまで上げたのちに、ベタな安らぎに着地する読後感はなかなか爽快だった。