阪大理論社会学 フリーター調査報告書

フリーター調査報告書
http://risya.hus.osaka-u.ac.jp/research/

確かに正社員になることが学生にとって幸せとは限らない。正社員になっても長時間の残業に苦しまなければならないかもしれないし、アルバイトをしながら自分の道を探すことは、彼女たちにとって貴重な体験かもしれない。そもそも「個々人が経済的に自立しなければならない」という私の個人主義的なイデオロギーを、学生たちに押し付けていいのだろうか、という迷いもあった。しかし、学校を卒業したあとの最初の職が、その後のキャリアに大きな影響を及ぼすというのも、社会階層論の常識である。そんなに簡単にリスキーな道を選ばせていいのか、という思いもあった。

引用部は報告書のはじめの言葉。そんな常識、フリーターだった20代の頃は知らなかった。その後自分は孤独な職安通い(失業者)と、求職活動から退却する非労働力化(ニート)のあいだを行ったり来たりする。求める条件も、中小企業の正社員→(正社員登用の可能性ありの)長期バイト→単なる長期バイト→短期バイトと下げていくなかで将来への希望を失っていった。

フリーター、若年失業者、ニートを峻別することに自分はあまり意味を見出せない。その境界はとても曖昧だ。