男性の労働時間と少子化

男性の労働時間、長い地域ほど出生率は低く…厚労白書
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050729i202.htm

島根が高くて大阪が低い? それって単に農村部を多く抱える地方と都市部の違いじゃないの? 男性の労働時間と出生率を連関させる根拠がまるでわからないんだけど。農村と都市じゃまるで事情がちがうわけでしょ。「働く女性の多い地域ほど出生率は高い」というのもどうだろう。

女性の労働力率出生率の間に相関関係があったとしても、それは第一に、「女性の労働力率が高いから出生率が高い」(女性がよく働く社会だから子ども数も多い)からなのか、「出生率が高いから女性の労働力率が高い」(子ども数が多いから女性も働かざるを得ない)からなのか区別しがたい。第二に、第三次産業従事者比率で表現される都市化の度合が、女性労働力率を低め、出生率を低める。「都会のほうが、女性は多く働いているじゃないか」と思われるかもしれないが、日本ではむしろ逆で、農村地域であればあるほど、女性は多く働いている(=働かざるを得ない)のである。

そして都市化の影響を取り除くと、女性労働力率と出生率の間には、相関関係はほとんどない。つまり多くの女性が労働市場に参入しているかどうかと、子どもがよく産まれるかどうかは、基本的に無関係なのである。赤川学子どもが減って何が悪いか!』(ちくま新書)P.43

ようするに擬似相関だという話。男性の労働時間についてはどうだかわからないけど、単純に大都市圏と地方を同じ土俵で比較して相関を求めるのはミスリーディングの危険性を孕む。しかしまあ労働時間の削減や働き方の多様化、または子育て支援の拡充を政策として提言するなら、関連性の疑わしい少子化対策を錦の御旗として立てないと諸々の現実を動かせないのかもしれない。あんまり好きじゃないんだけどねそういうの。