老猫の衰え

20歳を越えた我が家の老猫コバコがここ数日まったく食べ物を受けつけなくなった。水だけは口元に持っていくとどうにか飲む。腰まわりがすっかりやせ衰え一日中コタツのなかで寝ている。僕は家を空けることが多いので最近は年金暮らしの父がコバコの世話をしている。獣医に診てもらったら特に悪いところはなく老衰らしい。コバコ自身も別段苦しそうには見えない。注射や流動食による延命治療の是非を父と話す。

もう自然にまかせればいいのではないかと思う。父はそれでは気がすまないらしく、とりあえず再度動物病院に連れて行くことになった。治療費だけ渡して父にまかせることにする。コバコは捨て猫だった。これまで飼った犬猫は皆捨て犬、捨て猫だった。ペットを捨てる人には強烈な憎悪が湧く。子猫だったコバコを拾ったときは僕もまだ中学生になったばかりだった。家の中を縦横無尽に走り回っていた頃を思い出す。