宮崎駿 天才がデビューした瞬間 - 未来少年コナン

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今ヤフー動画で「未来少年コナン」全26話が無料で視聴できる。NHK初の長編アニメーションであり、宮崎駿の初演出作品でもある歴史的名作。今でも関西ローカルで再放送している。過去に全話録画してるし、何度も見ているから今さらではあるが、いやしかし何度見てもおもしろい。コナンが縦横無尽に駆けまわる姿には、絵が動くということ、絵に命が吹き込まれるというアニメ表現の原点的な感動がある。

僕は「三千里」でせっかくマルコとフィオリーナが走り寄ったのに抱き合わない、ああいうの嫌なんです。マルコの母親とフィオリーナは抱き合うのに、マルコとフィオリーナはなんで抱き合わないのかと。(略)本当に嬉しい時には抱き合うというのが、漫画映画というか、肉体的に表現するときには一番いいことなんじゃないかと思う。で、ぬけぬけと、ラブストーリーやってやろうと。宮崎駿『出発点』より

コナンの前に画面設定のレイアウトとして参加していた「母をたずねて三千里」が重い内容で、その反動なのかコナンでは開放的な宮崎演出が冴えわたっている。

神山 これ、あの時のテンションだから、できたんだろうなとかね。「宮崎さんは半日でコンテを描いた」という伝説もあるくらいですから。
―― 確かに、半日で書かないとできないくらいの仕事量ですよね。
神山 はずなんです。あのスケジュール見る限り。
―― だって、原画もレイアウトも全部見ているわけでしょう。
神山 そう。となったら、半日でコンテ切ってるはずなんです。あれは、やっぱり凄いよね。天才がデビューした瞬間だと思うんですよ。1人の天才のデビューする瞬間に立ち会って、その熱気を体感するべきだね。だから、これも作品のバックボーンと、どういうスケジュールで作られていたかとか、どういうスタッフかとかいう事と抱き合わせで観るべきだね。そんな気がしてましたね。僕も「26本1パッケージ」でデビューしましたけど、もうレベルが違いますね。宮崎さんのマイルストーンだね。
神山健治の「監督をやるなら観ておきたい20本」
http://www.style.fm/as/04_watch/watch21_2.shtml

じっさい現場では1話の作画インから放映まで半年以上の準備期間があり、8話分のストックを持ってスタートしたが、すぐに放映に追いつかれてしまったらしい。1話にはどうしても10日から2週間かかる。間にNHKが特番を入れてくれなければ作画がガタガタになっていたと宮崎自身が語っている。NHKの理解があったとはいえ、タイトなスケジュールのなかであのクオリティを維持したことは驚嘆に値する。

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