階層組織と中間的な社会形態

会社に代表されると思うのだが、階層組織に属するということについて。山崎正和社交する人間―ホモ・ソシアビリス』より。

  • 合理的な階層組織は人間中心主義の産物である。
  • 個人を道具化する面もあるが、個人にとって便利な道具として働く側面のほうが大きい。
  • 規則と契約によって結ばれた集団であり、人間関係の秩序は明示的に与えられ、個人はそれらを守る以上の制約を受けない。
  • 暖かい気配りに欠けた集団ではあるが、面倒な気兼ねや世話焼きをまぬがれた集団ともいえる。
  • 近代の個人はまさにこのような社会を求めて、村や血縁家族を脱出したのではなかったか。
  • 目的達成に効率的というだけでなく、この意味で将来的にも価値を持ちつづけるだろう。

次に階層組織に対して多様的な社会形態について。階層や肩書にしばられない社交的なネットワーキングについて。社交する場。

  • ネットワーキングと階層組織を社会形成の二つの作用としてとらえる。
  • それぞれが典型的に働く姿のあいだに、多様な中間的な社会的な社会形態を認める。
  • 一方の極に社交的なネットワークの形成作用、もう一方の極に功利的な階層組織作用を置き、漸層的なちがいをみせる多様な社会形成の形を認める。
  • 文明の性質によって、二つの極のあいだには現実的な優勢劣勢の振れがおこる。
  • しかしその二つの作用を原理的な優劣と見ないことが肝要だといえる。

現代はこの階層組織の作用が重宝されすぎているようにみえる。ネットは、特に昨今のブログやミクシィなどは中間的なネットワーキングとしてあるていど機能しているように思うが、モニターの向こう側の世界だけでとどまっていては、やはり物足りない。

社交する人間―ホモ・ソシアビリス

社交する人間―ホモ・ソシアビリス