夜のピクニックを読んで

恩田陸の『夜のピクニック』を読んだ。第2回本屋大賞。なんという爽やかな読後感だろう。小説を読んでこのような多幸感に満たされることはそうめったにない。すばらしい青春小説だった。

みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。

僕の高校三年間はごくごく平凡なものだった。でも思い返すと平凡だと思っていた日常が長い人生の中で、どんなに特別な日々であったことを今さらながらに気がつかされる。青春真っ只中の若者が読んでも面白いだろうけど、これは大人になって昔の頃の感受性を忘れかけたおとなが読むほうが、あの瞬間の憧憬や切なさをより強く感じることだろう。最高です。

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)