マッハ!!!!!!!! (2003/タイ)

MOVIX京都にて『マッハ!!!!!!!! 』を鑑賞。

いきなり話がそれるが、ジャッキー・チェンである。物心がつくころすでにブルース・リーはこの世の人ではなく、少年期を全盛期のジャッキー・チェンをみて育った。満員の映画館で、おとなをかきわけ立ち見でスクリーンを凝視していた。

この人はいつか撮影中に事故死する。そう確信していた。じっさい、龍兄虎弟の撮影中に死にかけている。公開中の作品がいつ遺作になってもおかしくない。そんな緊張感にあふれていた。ジャッキー自身もたしか手放しで賞賛されるより、こんな危ないことして…と眉をひそめられるほうがうれしいと語っていた。

トニー・ジャーも憧れたであろう稀代のスーパーアクションスターに、このムエタイ使いは肩をならべることができるのか。いまの段階ではまだ早い。でもその萌芽はじゅうぶんに感じられるほどに、その身体の張り方は通常のレベルをかるく越えている。というか、デビュー作で全盛期のジャッキーと比べたくなるという時点で、トニー・ジャーのポテンシャルの高さにすでにやられているのかもしれない。

ストーリーはとりあえず脇においておけばいい。うつくしい弧を描くまわし蹴り、怒涛のひざ蹴り、頭上から襲う強烈な肘打ち。素晴らしい。が、くりかえされるバトルはやや単調。街中での変化に富んだ逃走劇のような工夫がもうすこしほしかった。個人的に思い入れのあるジャッキーとくらべるのは公平でないかもしれないが、星はやや辛目に、でも今後の期待もこめて★★★。