2046 ★★☆ 2.4

東宝公楽にて『2046』(2004/香港)を鑑賞。過去をわすれることができない男(トニー・レオン)。その男とさまざまな女との関わりを、散文的な映像詩でつづるアートフィルム。監督は『花様年華』のウォン・カーウァイ

芸術は成熟するにつれて抽象的・観念的になるというが、この映画はそういった成熟のうえに成り立っているのか疑問をかんじる。豪華なキャストに美しい映像と音楽。そこに描かれる恋愛模様は、どうにも雰囲気だけでこころの芯にせまってくるようなものがない。退屈でしかたがなかった。

木村拓哉はわき役で可もなく不可もなくだが、たとえば金城武などと比べてどうにもスクリーン映えしない。テレビで見すぎているせいだろうか。トニー・レオンは圧倒的なダンディズムを放つ。コン・リーフェイ・ウォンチャン・ツィイーはそれぞれさすがの美しさ。哀しいときに哀しい音楽が聴きたくなったとき、音楽の代わりにこの映画をかけておくのは案外オツかもしれない。きもちよく眠りにおちることができるだろう。