広がる厚生年金の空洞化 クローズアップ現代

クローズアップ現代(11月17日)より。年金制度改革によって、雇用者・企業ともに厚生年金の保険料の負担増となったわけだが、そのせいで企業がすこしでも負担をへらそうと、何かと理由をつけて厚生年金を脱退するケースが相次いでいるらしい。

この動きは正規雇用者だけでなく、パート・アルバイト・派遣のような非正規雇用者への影響も大きい。目安としてアルバイトでも労働時間が週30時間以上または雇用契約期間が2ヶ月以上の場合、厚生年金への加入義務が(タテマエとしては)生じる。

ところが今回の負担増である。人件費をけずりたい企業側はサービス産業を中心として、従業員を非正規雇用中心にしつつ、こまかいシフト制をしいて、ひとりひとりの労働時間を週30時間以内におさえる。もしくは2ヶ月以内の短期雇用でまかなう。あるファミリーレストランでは、従業員の残業時間を6分単位(!)で管理していた。フルタイム労働中心の工場などでは、2ヶ月以内の短期雇用がひろがっている。

つまり、非正規雇用者のばあい長期フルタイムを望んでも、それがかなわないという事態となる。とうぜん収入は減る。自立を志向する若者は国民年金をはらう余裕もない。老後の保障はもちろんない。そして年金制度の空洞化がますますすすむ。

予測可能性を高めたい企業の合理的行動を倫理的に責めてもしかたがない。ここ20年で非正規雇用者のわりあいは2倍以上になっている。男性で3割をこえ、女性は5割をこえているなかで、行政はその実情に対応しきれていない。というか、まともに対応する気があるのか?