地球大進化 第二の遺伝子

先日放送されたNHKの「地球大進化 - ヒト 果てしなき冒険者」はよかった。サルから進化したヒトも一様ではなく、さまざまな種類に分かれ進化した。その過程で20種にものぼるヒト祖先が絶滅し、現在は我々ホモ・サピエンスだけが生き残った、というのが大筋のながれ。

そのなかでも、いまのヨーロッパにひろく分布し、3万年前に絶滅したネアンデルタール人は、見た目・体格・脳の大きさまでホモ・サピエンスと遜色がなかった。きびしい氷河期末期を生きぬいたホモ・サピエンスと絶滅したネアンデルタール人のちがいはいったいなんだったのか?

番組はひとつの有力な仮説を紹介する。見た目ほとんど一緒の両者も、声帯の位置だけは決定的にちがっていた。そのことによりネアンデルタール人ホモ・サピエンスほど流ちょうに言葉を扱えなかったというのだ(ネアンデルタール人は母音の発音が困難だっただろうという研究者の声を番組では紹介していた)。

急激な自然環境の変化に、遺伝子の変異は時として追いつけない。ホモ・サピエンスは高度なコミュニケーションを取り、お互い密に協力しあうことによって、環境の変化に対応する言葉という「第二の遺伝子」を獲得したのだ。ババーン!

現実をよりよい方向に変えるためには、言葉をつむぎ、より有効な行為にむすびつける必要がある。ちと啓蒙的ではあるが、言葉のたいせつさを思い知らされ、叙情的な音楽もあいまって深く深く感動したのであった。