不美人論をめぐって

yodaka2004-11-20

結局、そういうことについて語り合えない、語り合おうとする場所がないということ自体が、みんながこの問題を自分の中にひきずってしまっている原因だと思う。ほんと容姿の問題って自分のコンプレックスと深く結びついているからシャレにならないでしょ。声をあげられないのよね。それに背景に「美人、不美人は生まれつきで仕方ない。その序列は変わらない」というあきらめに似た不条理感があるからね。だから、不満やひどすぎる不美人差別に対して怒りがあっても吐き出さずにフタをした状態。

昨日放送された『もののけ姫』のなかで少しひっかかるシーンがあった。タタラ場に単身乗り込んだサンを瀕死の重傷を負いながら助けだしたアシタカが、サンにむかってこう言うわけ。

「生きろ、そなたは美しい……」

つーことは、サンがブスやったら助けへんかったんかい。そんな無粋なつっこみをいれずにはおれなかった。ほかにも京大のミスコンが中止に追い込まれたりというニュースに触れるにつけ、美人・不美人とはどういう事態か? ということが気になりだした。

女の美しさは外見ではなく内面にある、などとルックスによる序列が厳然と存在しているにもかかわらず、くさいものにフタをして不美人を擁護する気などさらさらない。またそういう毒にも薬にもならないなぐさめを女に対して口にする男も好きじゃない。

ここで思い出したのが哲学者の西研と漫画家の藤野美奈子が不美人について真正面から語りあった対談本『不美人論』である。ざっと立ち読みしただけだったのだが、なかなかおもしろかったように思う。美の序列はたしかに存在する。しかし、それは動かしがたいほどに強固な序列でもない。たんなる慰めでもなく、美への強迫でもなく。リンク先は両者のその後の対談をおさめたもの。