軋み

いつもの電車はきれいに席が埋まっていた。粛然とした車内。きれいに、というのは、空いている席がなく、かつ立っている人もいないという、ありそうでなかなかない状況を指している。収まる所にすべてがシステマティックに収まっている。自然であり、かつ不自然で奇妙な感じも受ける。もうひとつ前の駅なら毎日座れるだろうに、と腰の痛みが愚痴をこぼす。身体はつねに不協和音を奏でている。不協和。軋む音。その軋みにこそリアリティ(現実感)の取っ掛かりがある、のかもしれない。