星になった少年 ★★☆ 2.6

京極東宝にて『星になった少年』(2005/日)を鑑賞。「いい話」ではある。しかし「いい映画」として昇華し切っていない。原作物のの典型のひとつとして、2時間ていどの短い上映時間のなかで原作を忠実になぞるあまりに細部を描き切れず、作品そのものが原作のあらすじになってメリハリのない出来になってしまう、というものがある。

少年テツ(柳楽優弥)がゾウに魅せられていく過程、留学先での仲間との交流、帰国後の少女との出会い、家族との葛藤。どれひとつとっても関係が熟成していく細部があまり描かれていない。印象に残る場面も海辺で少年が子ゾウに寄りかかってたそがれているショットくらい。柳楽優弥の演技は自然だが、母役の常盤貴子のそれはちょっと過剰な印象。あの常盤の号泣シーンを唐突と感じてしまったのは、それまでの細部の表現の欠如にあったように思う。