宅配便にふと思う

森岡孝二働きすぎの時代 (岩波新書 新赤版 (963))』P.103より。

私が日曜の未明にアマゾンに注文したら翌月曜の午前中に家に届いた本の送り元は千葉県市川市であった。そこから送り先の大阪府高槻市までは優に六〇〇キロはある。宅配便の運転手が平均八〇キロで休まず乗務しても七時間以上かかるこの距離をどのように走ってきたのかは定かでない。ただ、明らかなことは、物流センターのノルマで縛られたアルバイト労働とともに、道路貨物運送業の長時間過密労働がなければ、注文した日の翌日に配達されるこのシステムは成立しないことである。

ネットショッピングとはちがうが、深夜1時にチャイムが鳴り宅配便の荷物が届いたことがあった。このおじさんの勤務体系ってどうなっているのかと他人事ながら心配になった。時間帯指定とか利用者としては便利だけど働く側としてはどうなのか。

本書によると、男性の道路貨物運送従事者のうち、宅配便の受け渡しをする労働者がふくまれる販売従事者だけをとると年平均にすればその労働時間は約2900時間におよぶとのこと。年2900時間というのは、全産業平均1700時間とすると、一日の残業時間が5時間にもなる計算。本書ではこれは過労死ラインを超えるものであるとしている。