コールドゲームを読んで

萩原浩『コールドゲーム』を読了。ふと中学一年の入学式の日のことを思い出した。

廊下で見知らぬ奴になんの理由もなくいきなり張り手打ちされたのだ。それまで僕は「いじめ」という言葉すら知らなかった。わけがわからず気がついたら相手の頬を張り返していた。

するとわらわらといかつい連中が集まってきた。張り手してきた相手が「おもろい奴がいるぞ」と半笑いで不良仲間を呼んだのだ。どうやら反抗してくる自分のようなおとなしそうな奴が珍しかったらしい。入学初日からいきなり目をつけられた。初めて学校という場で恐怖を感じた。

耐える日々とつのる殺意。本作はそんな類の殺意を沸点まで上げ凝縮させ、驚くべき結末へ展開させる。実に面白かった。

コールドゲーム (新潮文庫)

コールドゲーム (新潮文庫)