近況と猫と最近読んだ小説について
体調をくずしてから数ヶ月。なんだかんだで桜が散る時期になった。まだ仕事ができるほどには回復していない。それでも自宅療養のなかで少しずつ良くなってきた。夜は12時〜2時のあたりで眠りについて、朝は8時〜10時ごろまでに起きるというゆるゆるとしたサイクルで生きている。
ツタヤで映画のDVDをかりて観たり、小説をよんだり、ネットで株取引をしたり(ちょっとだけ負けている)、仔猫のあそび相手をしたりと、端からみるとけっこう優雅な生活かもしれない。将来のことにかんしては、正直どうでもいい。まあ、なるようになるさ、というくらいに気楽に構えておいたほうがいい。どうせ今の時代、完全に保障された未来なんてないのだから。
ちなみに自分の体調の目安のひとつが「小説が読めるかどうか」だ。集中力が要求される読書、とくに想像力もひつような小説が読めるようになってくると体調アップのサインになる。さいきん読んだ小説は、
- 宮部みゆき『誰か』B+
- 石田衣良『ブルータワー』B+
- 伊坂幸太郎『死神の精度』B+
- 伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』A−
宮部みゆき『誰か』と併読を薦められていたのが、アメリカのハードボイルド作家マイケル・Z・リューインのアルバート・サムスン・シリーズ。シリーズ四作目『沈黙のセールスマン』(ハヤカワ・ミステリ文庫)が『誰か』と共通している部分があるらしい。五作目の『消えた女』は、宮部みゆきの傑作ナンバーワンに挙げられることも多い『火車』の原型になっているのではないか、と巻末の解説では推察している。
石田衣良の『ブルータワー』は、彼自身初となる長編SF小説。強毒性のインフルエンザの脅威にさらされて人類が絶滅の危機にひんする近未来と現代を主人公の意識が行き来するという物語。エドモンド・ハミルトン『スターキング』というスペースオペラのオマージュにもなっている。
インフルエンザの脅威というのはじつにタイムリーで、専門家のあいだでは新型インフルエンザの登場にかなり危機感をもっているようだ。90年前に全人口の50%が感染し、一説には4000万人が死んだとされるスペインかぜはの正体はインフルエンザだ。現代はこのスペインかぜを上回る感染力と致死率をもった新型インフルエンザウイルスが誕生するかもしれない、という脅威にさらされている。
いまノリにのっている作家である伊坂幸太郎の『死神の精度』と『陽気なギャングが地球を回す』は、いまさら何かを言うまでもなく楽しめる。両作品ともに映画化。娯楽小説好きなら、彼の作品はとりあえず手にとってみるべきだろう。
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