形だけの面接

炎天下、面接へ行った。近代的なビル。おシャレなオフィス。遊び心も忘れずなのか棚にはマンガも充実している。面接官は若くてきれいなお姉さん。なんだこの場違い感は。ここは待遇が良いだけあってハローワークですでに10人ほど応募者がいると聞いている。採用は1名。望み薄の求人だ。

あいさつを済ませて自分なりにさわやかな笑顔を挟んでみるがたぶん似合ってない。職務経歴を聞かれて簡潔に述べる。業務内容について聞く。「なにか質問はありますか?」

え、ちょっと待て。こっちの経歴やら志望動機やら細かく突っ込むことはないのか。あー、これは採用する気がない形だけの面接だなとすぐ悟った。とにかく「ありません」じゃ話にならないので一応疑問点やらいくつか聞いたら愛想よく答えてはくれるのだが、正社員を雇うのにこんな簡単な面接ですませるとは思えない。予想以上に早く面接を終えた。

すこし落胆はしたが元々期待してないせいもあってか清々した。西日がきつい中、汗だくになりながらホームで電車を待つ。昨日買った小説がおもしろいので良しとしよう。明日も面接だ。

インシテミル (文春文庫)

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