リアリズムの宿(2003/日)

みなみ会館で『リアリズムの宿』を鑑賞。原作はつげ義春。童貞男と失恋男のふたり旅。親しくもなく、ちょっと面識があるていどのふたりの間に流れるぎこちない空気が、雪ふる山陰のひなびた町のふんいきによく合う。自主映画を撮っている童貞くんの恋愛論。心と性欲がなんたらかんたらと、漢語多めのあたまでっかちの話を首をかしげながら聞く女の子。様にならない日常の延長としての旅のリアルを微温的な笑いでつつむ。じつにうまい。

監督は山下敦弘。1976年生まれというから、この映画にみられる人間の描き方の成熟度からすると、ずいぶんと若い印象をうける。次作はエロアニメの歴史的作品くりいむレモンをベースにした同名の映画が秋から公開予定*1。この監督はちょっとおっかけてみたくなる。『リアリズムの宿』の音楽担当はくるり。『ジョゼと虎と魚たち』もそうだが、今作もいい仕事をしている。★★★★