誰も知らない(2004/日)★★★★

京極弥生座にて『誰も知らない』を鑑賞。保坂和志は「小説が光源となって日常を照らすことによって、ふだん使われる美意識や論理のあり方を作り出していく」と自己の小説観をのべているが、この映画もまさにカメラが光源となって、誰にも知られなかったこどもたちの日常を照らしている。いい映画だったが、この作品にかんしてあれこれと評論できる知性もないので、以下は印象にのこったことをてきとうに箇条書き。

  • 母子家庭だとなかなか部屋も借りられないという事情が、この映画に暗い影をおとしているんだなあ。高齢者や外国人や失業者にもつながるお話で、「社会的信用度」なるものについて考えさせられる。けっきょく世の中金か。
  • 結婚の条件』のなかで述べられているが、健康でも結婚しないと食べていけない層の女性というのが現実にいて、YOU演じる母親は、たしかに結婚に「生存」という意味合いがふくまれてしまう。「母親の無責任」というだけではわりきれないあたりが切ない。
  • YOUは「このひとに抱かれたい!」と思ったことがあるほど、キム兄やんとはマブダチらしいので、キム兄やんが元夫というのはナイスな配役だとおもった。
  • あの印象的な挿入歌をうたうタテタカコさんが、コンビニ店員役で出演しているのだが、その童顔っぷりのせいで柳楽くんと同世代くらいの男の子にしかみえない。「宝石」が流れたときは、ちょっとぐっときた。
  • 逆に女子高生(女子中生?)役の韓英恵ちゃんがとてもおとなっぽいのだが、なんと柳楽くんと同い年(学年でいうとひとつ下)。てことは撮影当時小学生? ひえー。
  • 末の妹役の萌萌子(ももこ)ちゃんに萌えー、なんて人前で言ってると逮捕されるので注意。でも、とっても愛らしい。よくこんな表情撮れたよなあ。
  • 柳楽くんのどのへんがカンヌ最優秀男優賞なの? といぶかしがっていたのだが、後半の彼の表情になるほどなっとく。