モーターサイクル・ダイアリーズ ★★★ 3.3

yodaka2004-10-19

京極弥生座にて『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004 / 英=米)を鑑賞。チェ・ゲバラ*1が若かりし頃に友人アルベルトとともに出かけた冒険的な南米大陸縦断の旅のようすを描いたロードムービー。監督は『セントラル・ステーション』のバルテル・サレス。

「なぜ旅をしてるんだ?」道中の砂漠で出会った夫婦にゲバラは問いかけられる。夫婦は共産主義者であったために警察に追われ、職をもとめてやむなく放浪の旅をしていた。ゲバラは「旅をするためさ」ととまどいながら答える。旅のために旅をする。青年ゲバラはまだ革命家ではなかった。

鉱山で非人道的なあつかいをうける労働者たち。地主に土地を追われた農夫。ハンセン病の隔離施設で「人生とは苦痛よ」とつぶやく病床の女。裕福な家庭にそだった医学生ゲバラは、かれらとの出会いを通じてラテンアメリカの階級差と貧困を目の当たりにし、人生観をおおきく変えていく。

「なぜ旅をするのか?」という問いにたいする答え。ゲバラはその後しばらくして革命家としての道を歩む。だれもが旅に意味を見出せるわけではない。じぶんの諦念の深さ、のようのことをおもう。意味からの逃避。揺さぶられる気持ちもある。じっくりと時間をかけたロケーションが結実した荒ぶる南米の土着の風景が印象的だった。