コラテラル ★★★ 3.4

yodaka2004-10-30

雨のなか『コラテラル』(2004/米)を観に京都スカラ座へ。上映まで1時間以上あったので『ハウルの動く城』の前売を買ったり古着屋に寄ったりしたあと、レコード店でO君とばったり。彼とはなぜか何度もぐうぜんに街中で出会う。しばしバイト話などを聞いてから彼と別れふたたびスカラ座へ。

人ひとりの命を60億分の1ほどの砂つぶとしか思わない殺し屋ヴィンセント(トム・クルーズ)。それは匿名性のなかにうずもれる都市住民にみる極北の心性だろう。流動的にただすれちがう人々。そんなロスの一夜、タクシードライバーのマックスとヴィンセント。マックスと女検事とのあいだにわずか関係が固着し、ドラマが生まれる。

孤独感も葛藤もみせず、ヴィンセントはしかし最期までアノニマスな存在だった。クールで、でもそれはやはり哀しい透明な他者だ。そしてそのヴィンセントのまなざしは地下鉄のホームで誰にも気づかれずに野たれ死んだ男に向けられていた。