2004年私的ベストテン短評その4
ラスト。
1位 ジョゼと虎と魚たち(2003/日)
2004年に入って初めて観た映画がジョゼ虎だった。観終わってすぐに今年のベスト3に入ることを確信した。一緒に観に行った今は亡き「沈没ピアノ」の部外者くんは声を震わせながら生涯のベスト3に入ったと語っていた。
父は『マグノリア』を観て、母との夫婦生活の一番つらい時期を思い出したとつぶやいた。時に映画は私的でクリティカルな人生経験がオーバーラップすることがある。恒夫の一部が、ジョゼの一部が、くるりの「ハイウェイ」が自分の甘く辛い記憶を想起させる。
僕はジョゼ虎に関してこれまで一度もまとまった論評も感想も残していない。本当に好きな映画は感情が先行しすぎてまともに言葉にならないからだ。これからもたぶん冷静に論じることはないだろう。この映画は言葉や論理を超えたところでただ記憶としてそっと収めておきたい。
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