パーク・ライフ

車窓に張りついては流れる雨の水滴にたまに目をやりながら、きっとこの風景に数多の人たちが様々な情景を重ね合わせたんだろうな、とぼんやりと考えながら吉田修一パーク・ライフ』を読んでいた。ああ、好きだな。こういう小説は。ふと、酒屋の配送の仕事をしていた友人の腕が目に浮かんだ。ひょろっとした友人の身体はいつのまにか仕事の身体になっていて、麻雀牌をつまむ姿とゲームのコントローラーを操る姿しか見たことのない僕は、そんな彼のたくましい肉体をかすかな違和感を持って見つめていた。

パーク・ライフ (文春文庫)

パーク・ライフ (文春文庫)