パラサイト社会のゆくえ
山田昌弘『パラサイト社会のゆくえ』を読んだ。雑誌の連載をまとめて構成し直したものらしく、ひとつのテーマを掘り下げるというより、現代家族に関わる話題を広汎に集めてさらっと扱ったとっつき易い仕上がりになっている。逆に言うとちょっと食い足りない印象。
本書では、90年代後半の社会構造の急速な変化によって、家族を取り巻く状況が様変わりしたことが述べられている。それは高度成長を支えた家族モデルの完全な崩壊を意味するのだが、人々の意識や社会制度が追いついていないことがうかがえる。今のままでは晩婚化・非婚化の流れは止まらないだろうし、社会不安も増大するだろう。本書に関しては極東ブログのエントリーが参考になる。
余談というか戯言に近いが、人々の意識と言えばたとえば男のヒモに対して女のヒモといった表現はない。青木さやかの彼氏がフリーターであることに対して、「この男はヒモだ」という批判があったという。男女共働きが当たり前になったと言ってもまだまだ「夫が生活保障すること=夫の愛情表現」といった旧来の価値観が、形を変えつつも世代や性別を超えて根強く残存しているように見える。その負の部分の端的な例が中高年男性の自殺増加か。
- ヒモの男女差別!必読
- http://d.hatena.ne.jp/tumiki/20041014#p4
男性が金銭を依存してるだけで、
何かを要望する権利すらないらしい・・・。
ヒモヒモとののしられ、一切のわがままや対等な恋人らしい男性の人権は
「男性が養われる場合は」ないらしい。
- 作者: 山田昌弘
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/10/06
- メディア: 新書
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