車内は時に戦場と化す

夏の陽射しに数時間さらされたあの紙パックのぬるいカフェオレのせいだろうか。帰りの電車で僕は今年最大級のビッグウェーブにさらされた。ちょうど高槻駅を出発した直後だ。つぎの山崎駅まで必死に耐える。遠い。果てしなく山崎が遠い。流れる車窓の風景はもはや憎悪の対象だ。こぶしを握り爪を立てる。

となりの彼女と言葉をかわす余裕などビタ一文なく、彼女は彼女で車内で彼氏がもらすかもしれないという最悪の事態を想定して、代えのジーンズを購入することなどを含めたその後の行動計画を練っていた。なんとも頼もしい危機管理能力である。どうにか無事山崎駅に着きトイレに駆け込んで、電車が二本三本と行き過ぎる間に腹痛に対する勝利をどうにか手にした後、京都駅伊勢丹でラーメンとぎょうざとビールの夕食で祝杯をあげた。