臆病者のための株入門

臆病者のための株入門 (文春新書)

臆病者のための株入門 (文春新書)

投資家の仕事は、損をすることである。(P.94)

本屋の平積みでけっこう売れてるようだったので衝動的に購入。株でちょいと生活費の一部を捻出できないかなあなんて淡い期待を抱いていたんだけど、この本読んでテンション下がった。でも投資意欲をあおるより出鼻をくじくような入門書のほうが良書だとおもう。

本書では金融リテラシーこそが投資家が身を守る最大の武器だとのべている。「リテラシーが欠けている」状態とは、

  • 議論の前提となる知識が欠けている。
  • 知識が欠けていることに無自覚。

の2点。金融リテラシーというのは「おいしい話」の背後に潜む罠を常識と合理的な推論によって読み解く技術のこと。リテラシーに特別な投資の専門知識はいらない。著者はくりかえし「確実に儲かる方法などない」とのべている。高いリターンの裏には高いリスクが伴うし、うまい話の裏には高い投資コストが隠されている。

そういったことを具体例を挙げながら資本主義の本質に迫りつつ、投資に関する俯瞰的な視点を提示している。ファンダメンタル分析テクニカル分析か、短期投資か長期投資か、なんてことを学ぶ前に考えるべきことがあるのだ。