空中庭園
『空中庭園』(2005/日)を見た。表向きは隠し事のないオープンな家族を演じながら、それぞれが誰にも言えない隠し事を持っている。しあわせな家族という枠のなかではどのように振る舞っても自由だけど、その枠外に一歩でも逸脱してしまうとすべてがブラックボックスとして隠匿されてしまう。
自由であること、オープンであること。そんな明るい家族像を演じれば演じるほど、自由の領域が広ければ広いほど、逆に不自由との境界線に明確な光と影の色分けがなされてしまう。中間色のない、グラデーションのない世界での逸脱の恐怖。
家庭教師役のソニンが家族を前にして「これは学芸会なんだ!」と叫ぶ。南向きの明るい日差しのような家族の虚構を告発するシーン。しかしじつはその虚構だと思われた家族像にも血の通った真実が含まれているのだから話はややこしい。あの小泉今日子が全身に浴びる血の雨は、きっとそういうことなんだろう。
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