内の痛みを外の痛みへ

昼すぎから神経科の医院へ。毎度毎度の1時間待ち。外のベンチでタバコをふかしながら、「あー死にたいなあ」という漠然とした思いが浮かんでくる。と言っても、自殺につながるような強度な願望ではなくて、「あー、今日は暑いなあ」といったニュアンスと似ている。

こういうとき自分は、暑さで額の汗をぬぐう事とおなじように、左腕に右手の爪を立てて、ぎゅっと痕がつくくらい押さえつける。爪を立てるのは手だけでなくて、こめかみだったり、足だったり、まあいろいろ。あとはタバコやアルコールで気をそらす。

たぶん内面の苦痛を外面の痛覚を刺激することによって、気をまぎらわしているんだろう。かるい自傷行為かもしれない。

まあなんにしてもここ1ヶ月以上「あ、これはけっこうな鬱モードだな」といった自覚症状はまったくない。元気元気。本気で自殺することを考えるほどの絶望と苦しみを、8000m級の山の頂上付近で遭難しかけた状態に例えると、どうにかベースキャンプまで無事生還した、といった感じ。

うつ病なんて単なる甘えでしょ?」とか「たんに気分が落ち込んでるだけでしょ?」とか「心の風邪」くらいに自分自身が鬱病にかかるまでは思っていた。しかしとんでもない間違いだった。鬱が重度になるとまさに「死に至る病」と言っていい。

どうにか生還した。後遺症は残っている。はたして喧騒にわく街中で無事生活していけるだろうか。