社会から排除される地方の若者

今日のクローズアップ現代は「仕事をください〜若者を襲う就職難〜」と題して地方の若者の就職難を取り上げていた。メモっておく。

岩手の花巻市では進出企業の相次ぐ撤退で、高卒の求人数が平成4年をピークに減り続けて今では10分の1以下に。高知の宿毛市でも同様に正社員で働くことが非常に難しくなり、技能をもたない中卒高卒の若者が社会から排除されているとのこと。

生徒に人気の大手の事務職や技能職の求人は激減。目立つのは体力的にも精神的にも条件の厳しい就職先。全国平均の求人が順調に回復しているなかで地方との格差が広がっている。職安の求人比率は正社員の求人が半分で残り半分は不安定雇用のパート・アルバイトなど。正社員の求人もそのほとんどが看護師や薬剤師など資格のいるものが大半。

このままでは地方で若者が生活できなくなる。危機感を抱いた国が聞き取り調査に乗り出し、安定した仕事につけない地方の若者が社会的に孤立し、しだいに希望を失ってニート化していく実態が浮きぼりに。都会だとフリーターの仕事もあるが地方にはそれもない。東京などはレアケース。若者の意欲の問題ではない。今は親元で食べることはできるため若者の貧困が見えづらい社会となっている。親の経済力が細り始めておりやがて親に頼れない時期がくる。少子化のスパイラル、社会の不安定化の要因にも。

岩手県ではステップアップの一環として非常勤で若者に県庁の仕事を分け与えているが、その後民間企業へ就職できた者はおよそ4割にとどまっている。新たな受け皿が必要。県が地元企業をくまなく回り、新たな地場産業を創出する取り組みを紹介。県がもっとも期待をかけているのは資本金がいらないNPOの設立支援。地域の切実なニーズを掘り起こす雇用創出。介護事業に取り組むNPOで20人の雇用が生まれたケースを紹介。学校と企業のあいだに文化・社会活動、職業訓練NPOなど、社会との接点や仕事につくきっかけ作りが必要。雇用の受け皿作りに国はもっと力をそそぐべき。いくら職業訓練をしても受け皿がなければ意味がない。

(雑感)
地方の没落を際立たせる番組構成。フリーター・ニートにも関わる問題を若年層の意欲など心の問題としては一切取り扱っていなかった。

自分の地元は京都や大阪に近くまだ恵まれているほうだが、それでも工場を誘致して地元の雇用を確保するやり方はいったん不景気になると一気に雇用情勢の底が抜ける。20代で職安通いをしていたころ、地元の職安にはほとんど行かず京都まで出かけていた。求人がないのだ。バイトの求人すらなかなかない。大都市で働くには生活コストがかかるため不安定雇用で一人暮しは厳しい。住み込みなら遠くの工場くらいしか選択がない。これじゃフリーター漂流だ。実家から通える範囲で探すのでおのずと求人が限られる。自分の見通しの甘さはもちろんあった。しかしそれにしても社会的に孤立し意欲も自信もなくなっていく。

今は大阪の某NPOに拾われて安月給ながらどうにか食っているがそれも実家暮らしがあっての話。先の見通しも立たないしこのままNPOでやっていく自信もない。地元で職を見つけることは今後も困難だろう。いずれは愛着のある地元を捨てるかもしれない。NPOは雇用の受け皿として期待されているようだが大半は経営的に厳しい。多くの有給スタッフを抱える余裕はないだろう。NPOの可能性は大きいが国の施策として優遇措置を進めるなり、自治体のバックアップがないと掛け声だけで終わりかねない。