ひきこもるという心性の中の積極性について
静けさとは、すなわち「無関係さ」の蓄積であって、数々の影響を丹念に一つずつ遮断してようやく最後に得られる「孤立」である。そこに自分だけが残るからこそ、静けさを感じることができる。それが私の安定を支えるメカニズムといっても良く、つまり、この安定によって、社会に定着しているのだから、遮断によって関係性を保持する、いかにも矛盾したシステムといわざるをえない。いずれにしても、無関係であることに価値を求める理由を、まったく論理的に説明できないのである。(P.101)
静けさを、孤独を求めることを嗜好する、ということを考える。それにしてもこの小説はおもしろい。
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/11/15
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